理事長の挨拶理事長挨拶
日本シェーグレン症候群学会 理事長
高橋 裕樹 (札幌医科大学医学部 免疫・リウマチ内科学 教授) 2021年10月から長崎大学川上 純教授より理事長を引き継ぎました札幌医科大学の高橋裕樹です。日本シェーグレン症候群学会はシェーグレン症候群とIgG4関連疾患を二本柱として、これら疾患を対象とした研究活動、教育活動、啓発活動を展開しています。いずれも涙腺・唾液腺を主たる標的臓器とする慢性炎症性疾患ですが、種々の免疫異常を基盤に有し、また全身の様々な部位・臓器に病変を合併することから、眼科や耳鼻咽喉科、歯科口腔外科のみならず、リウマチ内科を含む内科全般、さらに皮膚科、病理など、幅広い領域にまたがって対応しなければならない疾患です。私は1997年に北海道で佐川昭先生が主宰された第5回(当時は研究会)から、参加させて頂き、今までシェーグレン症候群について最新の知識を含め多くの事を学ばせて頂きました。また、一番のメリットは疾患の横断的な性格を反映して、多くの分野の先生と、老若男女を問わず交流し、多方面から刺激を受けることができることと思っております。ここ2年間は新型コロナ感染症の蔓延のため、対面での学会が開催できずに大変残念に思っておりますが、収束後は若い先生を巻き込んで学術集会を開催し、魅力ある学会となるよう尽力したいと思います。 本学会はシェーグレン症候群、IgG4関連疾患の研究・診療に関連する委員会活動も活発に行われており、特にシェーグレン症候群の診断と治療マニュアルは数年毎にアップデートを繰り返しており、今後もシェーグレン症候群に関する知識と新しい成果を提供する大事な責務と思っておりますので、是非、学会員の皆様にはご協力をお願いしたいと思います。 リウマチ・膠原病領域は21世紀にはいってからの分子標的療法、特に生物学的製剤導入の恩恵を受け、関節リウマチのようにパラダイムシフトと呼ばれるほどの診療内容の変革をみている疾患もあります。シェーグレン症候群においても、遅ればせながら複数の生物学的製剤による臨床試験が行われていますが、今のところ、患者さんに顕著な福音をもたらせるほどの有効性はどの薬剤も示せていないようです。IgG4関連疾患に関しても、分子標的療法による臨床試験はまだ端緒についたばかりで、これからさらなる病因・病態の解析をベースに新たな治療方法の開発が待たれるところです。いまだ多くのクリニカルクエスチョンを有する領域ですので、これらの答えを、学会員の皆様と見つけて行きたいと思います。ご支援とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。 |